教員志望者の減少は、教育の質の維持と向上の観点から看過できない課題です。
教員採用試験の倍率低下や教員不足の深刻化は、教育現場に大きな影響を与えています。
本記事では、教員採用の現状と課題を詳しく解説します。
スポンサーリンク教員志望者減少の現状
教員志望者の減少は教育の質の低下だけではなく、子どもたちに様々な影響を与えています。
教員採用倍率低下の実態
教員採用試験の倍率は、全国的に低下傾向にあり、特に小学校での競争率の低下が目立っています。
令和6年度の公立学校教員採用選考試験の全体競争率は3.2倍と過去最低を記録しており、小学校では2.2倍となっています。
| 区分 | 競争率(倍) |
|---|---|
| 全体 | 3.2 |
| 小学校 | 2.2 |
| 中学校 | 4.0 |
| 高等学校 | 4.3 |
| 特別支援学校 | 2.2 |
| 養護教諭 | 8.2 |
| 栄養教諭 | 9.2 |

私の周りにいる先生たちからは、小学校→中学校→高校の順に仕事が大変だという意見が多いです。
教員不足が深刻化する背景
教員不足は、産休・育休取得者や特別支援学級の増加など、様々な要因が複合的に影響しています。
文部科学省の調査によれば、採用者数の増加に伴い、講師名簿登録者数が減少していることも要因の一つのようです。
スポンサーリンク教員志望者が減少している理由
教員志望者が減少している主な理由は、労働環境の厳しさ、給与水準への不満、ハラスメント問題、保護者対応の負担、キャリアパスの不明確さといった要因が複合的に影響しているためです。
労働環境の厳しさ


教員の労働環境は、長時間労働が常態化しており、時間外勤務手当が支給されないケースが多いことが問題視されています。
給与水準への不満


教員の給与水準は、一般企業と比較して低い傾向にあります。
生活の安定を求める若者にとって魅力に欠ける要因となっています。
スポンサーリンク保護者対応の負担増(ハラスメント)


近年、保護者からの過剰な要求や理不尽なクレームが増加しており、教員の精神的な負担となっています。
先日、私の息子が通う中学校(市の教育委員会)からも「保護者の過剰な苦情や不当な要求」についてのお知らせがきました。
具体的な例としては
- 暴言・大声(身体的・精神的な攻撃や威圧的な言動)
- 過度、不当な要求
- 長時間の高速(居座り、長電話など)
- 無断撮影、SNSでの投稿(誹謗中傷など)
これらが挙げられていました。



実際に、このような行動を起こす保護者が後を絶たないのだと思います。
場合によっては、警察への通報や法的措置を講じてまいります。
教育委員会からはこのような注意喚起が記載されていました。
スポンサーリンクキャリアパスの不明確さ


教員のキャリアパスは、管理職への昇進以外には選択肢が少なく、専門性を高めたい教員や新しいことに挑戦したい教員にとって不満の要因となっています。



教員志望者減少の解決には、これらの要因を総合的に改善する必要があります。


教員採用試験の現状と課題


教員採用試験を取り巻く現状ですが、競争率の低下と教員不足という二つの大きな課題に直面しています。
令和6年度の教員採用試験結果
令和6年度の公立学校教員採用選考試験の結果は、全体競争率が3.2倍と過去最低を記録しました。
文部科学省のデータによると、採用者数は36,421人と前年度より増加したものの、受験者数は115,619人と減少しています。
スポンサーリンク自治体別の競争率比較
自治体ごとの競争率には大きな開きがあり、最も低い自治体では2倍を下回る一方で、高い自治体では8倍を超える事例も見られます。
各県市の競争率は以下の通りです。
| 区分 | 中学校 | 小学校 | 区分 | 中学校 | 小学校 | 区分 | 中学校 | 小学校 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 3.3 | 4.2 | 沖縄県 | 4.9 | 4.4 | 三重県 | 4.6 | 5.4 |
| 札幌市 | 3.1 | 3.7 | 青森県 | 3.4 | 3.4 | 滋賀県 | 3.3 | 4.2 |
| 岩手県 | 4.8 | 7.2 | 京都府 | 4.0 | 4.7 | 仙台市 | 3.2 | 3.3 |
| 宮城県 | 3.1 | 5.4 | 大阪府 | 4.9 | 4.2 | さいたま市 | 3.2 | 3.3 |
| 秋田県 | 2.3 | 2.8 | 兵庫県 | 3.9 | 3.5 | 千葉市 | 3.0 | 5.0 |
| 山形県 | 2.8 | 4.5 | 奈良県 | 5.3 | 5.6 | 横浜市 | 3.1 | 3.3 |
| 福島県 | 2.9 | 3.1 | 和歌山県 | 3.8 | 5.0 | 川崎市 | 2.5 | 2.7 |
| 茨城県 | 3.1 | 4.7 | 鳥取県 | 8.0 | 11.0 | 相模原市 | 2.8 | 3.3 |
| 栃木県 | 2.5 | 3.1 | 島根県 | 3.7 | 3.3 | 新潟市 | 3.3 | 4.0 |
| 群馬県 | 3.3 | 4.2 | 岡山県 | 3.9 | 4.3 | 静岡市 | 3.7 | 3.3 |
| 埼玉県 | 3.9 | 5.7 | 広島県 | 3.4 | 4.3 | 浜松市 | 4.4 | 4.4 |
| 千葉県 | 3.5 | 4.8 | 山口県 | 2.4 | 2.1 | 名古屋市 | 3.9 | 4.3 |
| 東京都 | 4.3 | 4.3 | 徳島県 | 5.4 | 6.3 | 京都市 | 3.4 | 4.3 |
| 神奈川県 | 3.3 | 3.9 | 香川県 | 4.4 | 4.1 | 大阪市 | 5.4 | 6.3 |
| 新潟県 | 2.9 | 3.0 | 愛媛県 | 2.7 | 2.5 | 堺市 | 4.4 | 4.1 |
| 富山県 | 3.7 | 4.3 | 高知県 | 6.7 | 9.4 | 神戸市 | 2.7 | 2.5 |
| 石川県 | 4.0 | 5.4 | 福岡県 | 2.6 | 2.0 | 岡山市 | 6.7 | 9.4 |
| 福井県 | 3.4 | 4.3 | 佐賀県 | 2.0 | 1.6 | 広島市 | 2.6 | 2.0 |
| 山梨県 | 4.0 | 4.2 | 長崎県 | 2.1 | 2.6 | 北九州市 | 2.0 | 1.6 |
| 長野県 | 3.0 | 3.5 | 熊本県 | 2.3 | 2.1 | 福岡市 | 2.1 | 2.6 |
| 岐阜県 | 1.8 | 2.3 | 大分県 | 3.0 | 3.2 | 熊本市 | 2.3 | 2.1 |
| 静岡県 | 3.5 | 4.1 | 宮崎県 | 2.8 | 3.7 | 豊能地区 | 3.0 | 3.2 |
| 愛知県 | 3.2 | 4.0 | 鹿児島県 | 2.2 | 2.2 | 合計 | 2.8 | 3.7 |
教員採用の課題:複数年を見越した計画的な採用の必要性
教員採用においては、各自治体が複数年を見越した計画的な採用に取り組む必要性が高まっています。
年齢構成に配慮した採用や配置、人事面での工夫、大学等との連携を通じて、安定的な人材確保を目指すことが重要です。



各自治体は、教員の労働環境改善や待遇向上を図り、教員という職業の魅力を高める必要があります。
教員の魅力を再発見するために


教員の魅力を再発見するには、先生方がもっと働きがいを感じ、成長できるような環境を整えることが大切です。
やりがいや成長機会の創出
先生方のやりがいや成長の機会をつくるには、成功体験をたくさん積むことが非常に大切です。
研修を充実させ、ベテランの先生方による指導力を高めることで、専門性を伸ばせます。



地域や社会の協力やを後押しすることで、社会貢献を実感する機会も増えます。
働き方改革による負担軽減
先生方の負担を減らすためには、長時間労働ことを改善するのが一番大切なことです。
仕事の効率を上げるためにICTを取り入れたり、部活動を地域に移したりすることで、先生方がゆとりを持てる時間をつくれます。
待遇改善によるモチベーション向上
先生方のやる気を高めるには、給料をしっかり見直すことがとても重要です。
経験や能力に見合った給与の仕組みを整え、ほかの仕事と比べても見劣りしない水準にすることが大事でしょう。
さらに、住宅手当や扶養手当といった福利厚生を充実させて、経済的な心配事を減らします。



休みを増やしたり、心の健康をサポートしたりと、先生方が心身ともに元気に仕事に取り組めるように応援する体制も必要です。
ポジティブな情報発信の強化
先生という仕事の魅力を、社会に積極的に発信していくことも必要です。
SNSやウェブサイトを使って、先生のやりがいや成長、社会への貢献といった魅力を伝えます。



地域の方々や保護者の方々との交流イベントなどを通じて、先生の仕事への理解を深めることも大事です。
よくある質問(FAQ)
スポンサーリンクまとめ
教員志望者減少は、子どもたちが良い教育を受け続ける上で、とても大切な課題です。
教員採用試験の倍率が下がったり、教員が足りなくなると、学校での教育に大きな影響が出てしまいます。
先生たちの働きやすい環境を整えたり、待遇を改善したり、教員の仕事がもっと魅力的になるように変えていくことが大切です。


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