部活動の地域移行は、現状では多くの課題が山積しています。
地域移行をスムーズに進めるためには、受け皿となる地域団体の不足、指導者の確保の難しさ、運営予算や利用施設の確保など、多くの課題を克服する必要があるのです。
この記事では、部活動の地域移行の現状と問題点について詳しく解説します。
スポンサーリンク部活動地域移行の現状

部活動の地域移行は、生徒のスポーツ機会の確保や教員の負担軽減を目指すものですが、現状では多くの課題が山積しています。
地域移行が目指すものは?
部活動の地域移行が目指すのは、
- スポーツ団体、保護者、民間事業者などが協力し、学校と地域が協働して生徒に望ましいスポーツ環境を構築する
- 教員の負担を軽減するため、部活動を学校単位から地域単位の取り組みにする
学校の部活動を地域に移行することで、生徒は学校の枠を超えて、地域の様々な団体や施設を利用できるようになり、より多様な活動に触れる機会が得られます。
また、教員の負担軽減も重要な目的の一つです。

部活動の指導を地域の人材に委ねることで、教員の長時間労働を改善し、本来の教育活動に専念できることが期待されています。
スムーズな移行の難しさ
部活動の地域移行は、理想的な目標を掲げる一方で、スムーズな移行を実現するためには多くの課題を克服する必要があります。
例えば
- 受け皿となる地域団体の不足
- 指導者の確保
- 運営予算の確保
- 利用施設の確保
- 大会参加の条件
- 保険加入への理解
- 保護者の経済的負担
- 持続可能な運営体制
- 平日活動との連携
- 事故発生時の責任
これらの課題が挙げられます。



地域の現状や関係者の思惑など複雑に絡み合っていて、一律的な解決策では対応できない難しい問題があります。
中学生の我が子の場合
私の息子は現在中学生で剣道部に所属しています。
今年、1年生の入部者がいなかったため、3年生が引退した現在は2年生の5名で活動しています。
剣道は年々競技人口が減少しており、市内の中学校でも廃部になる学校が増えているのです。(茨城県水戸市)


部員数が少ないという問題点から、水戸市では今年度より剣道部は土曜日のみ地域移行となりました。
- 平日の放課後は通常通り学校で部活
- 土曜日は隣の中学校と合同練習
- 市内の他の中学校も部員が少ない学校は合同、多い学校は単独活動
現状このような感じです。
平日の部活は指導者も学校の教員で今までと変わりはありません。
土曜日の地域移行に関しては、我が子のところは学校の教員(顧問)が指導してくれています。
他中では教員ではなく、地域の外部指導者が指導を行っているところもあるようです。



教員も希望をすれば地域移行の指導者になれるようです。
他にも水戸市では、軟式野球部、レスリング部、ソフトボール部が土曜日の地域移行を実施しました。
水戸市総合教育研究所-令和7年度休日の地域クラブ実証事業について
現在のところ生徒の参加費用は無料、指導者は時給制で給与が支払われるようです。
スポンサーリンク地域移行を阻む問題点


部活動の地域移行は、多くの問題が複雑に絡み合っているため、現状は円滑に進んでいない状況です。
受け皿団体の不足
地域移行を進めるためには、生徒が安心して活動できる地域団体が必要不可欠です。
しかし、多くの地域では、そのような団体数が不足しており、地域移行の受け皿として十分な機能を果たせていません。
指導者確保の困難
中学校では、小学校よりも高い専門性や知識が求められるため、中学生に対応できる指導者の確保は、地域移行において大きな課題です。
適切な指導スキルを持ち、生徒の成長をサポートできる人材は限られています。
運営予算の確保
地域移行を成功させるためには、外部指導者の人件費や施設利用料、備品購入費など、さまざまな費用が必要です。
しかし、多くの地域では、そのような費用を十分に賄うだけの予算が確保できていないのが現状です。
利用施設の確保
地域移行後も、学校の体育館やグラウンドなどの施設を利用する必要がある場合があります。
しかし、学校側の都合や地域住民との調整など、さまざまな要因から施設の利用がスムーズに進まないことがあります。
スポンサーリンク大会参加の条件
大会参加要領が学校単位での参加を条件としている場合が多く、地域移行の妨げになっています。
地域移行後、生徒が地域クラブや団体として活動する場合、学校単位での参加を前提とした大会には出場できないことがあります。



息子の剣道部は男子3名しかいないため、団体戦がかなり不利です。
地域移行で一緒の中学と組めば5名確保できますが、現状は総体や新人戦などの大会は学校単位でしか出れないようです。
保険加入への理解
スポーツ安全保険と災害共済給付金制度の差異について、保護者の理解を得るのが難しい場合があります。
地域移行に伴い、生徒が加入する保険が変わることで、補償内容や保険料に違いが生じることがあります。
スポンサーリンク保護者の経済的負担
地域移行により、保護者が負担する費用が増加することがあります。
特に経済的に困難な家庭では、部活動への参加を諦めざるを得ないケースも考えられます。
活動場所が学校以外になることもあるため、移動による送迎や交通費の負担が増えることも考えられます。



息子たちは一か月毎に、自校・他校と活動場所が変わります。
平日活動との連携
平日部活動と休日の部活動の指導の一貫性を保つのが難しい場合があります。
地域移行後、平日は学校の部活動、休日は地域クラブというように、活動主体が分かれることがあります。
事故発生時の責任
外部委託した場合のトラブルや、事故発生時の管理監督責任の所在が不明確になる場合があります。
地域移行後、生徒が活動中にけがをした場合や、トラブルが発生した場合、誰が責任を負うのかが曖昧になることがあります。
スポンサーリンク地域移行に向けた取り組み事例
地域移行に向けた取り組みは、各地域で様々な形で進められています。
ここでは地域の実情に合わせた工夫を凝らした事例を紹介します。
群馬県: コーディネーターと連携した支援体制構築


群馬県では、部活動の地域クラブ活動への移行を推進する総括コーディネーターを配置し、県全体の部活動改革に取り組んでいます。
総括コーディネーターと5人のコーディネーターが各市町村の課題や進捗に合わせながら改革を推進しています。
スポンサーリンク北海道北見市:安全・安心な地域クラブ活動を実現するための認定制度


北海道北見市では、地域のスポーツ団体などを認定する仕組みを設けました。
「北見市地域クラブ活動」として認定された団体には、各種大会などへの参加費の補助をはじめとした支援を行っています。
地域クラブ活動におけるガバナンスを効かせるため、指導者研修の仕組みを設けるなど、安全・安心で持続的な地域クラブ活動の実現に取り組んでいます。
スポンサーリンク千葉県柏市:地域クラブ活動参加費用支援制度


千葉県柏市では、子どもたちが経済的な理由で地域クラブ活動への参加を諦めることがないよう、生活保護世帯や就学援助対象世帯などの子どもたちを対象に参加費用を支援する制度を導入しています。
また、申請について、個人情報の取り扱いに配慮した仕組みも設けています。
スポンサーリンクよくある質問(FAQ)
スポンサーリンクまとめ
部活動の地域移行は、生徒のスポーツ機会の確保や教員の負担軽減を目指していますが、現状では多くの課題が山積しており、スムーズな移行には課題の克服が不可欠です。
- 受け皿となる地域団体の不足
- 指導者確保の困難さ
- 運営予算や利用施設の確保
- 事故発生時の責任問題
地域移行を成功させるには、人材、保険、財政、制度など多岐にわたる支援体制を構築することが重要です。




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